柔道整復師にかかるとき
ねんざや打撲の際、接骨院(整骨院)を利用する場合もあるでしょう。しかし、接骨院等は保険医療機関ではなく、施術を行う柔道整復師も医師ではないため、健康保険でかかれるのはごく限られた範囲に限られます。
健康保険でかかれる範囲
健康保険の適用となるのは、外傷性が明らかな以下の症例に限られます。
- ※内科的原因による疾患は含まれません。
- ※いずれの負傷も慢性的な状態に至っていないものに限られます。
●骨折・脱臼
※「骨折」を診断した医師の同意が必要です。
- 接骨院での施術で「骨折・脱臼」の応急手当てをする場合、同意は不要ですが 応急手当後の施術は医師の同意が必要です。医師はレントゲン撮影等科学的な検査で「骨折・脱臼」と診断しますが、柔道整復師は徒手による判断になり、その診断には限界があります。そのため骨折の後療には骨折診断をした医師の同意が必要となるのです。
- 同意の方法で一番良いのは「書面」です。しかし必ず書面でいただけるとは限りません。患者さん自らの口頭で医師の同意をいただいても構わないことになっています。また、柔道整復師が骨折診断をした医師に電話で同意を求めることも可能です。
同意を得られたら、施術録に同意を得た旨を記載し、申請書の摘要欄にも毎月記載する必要があります。同意年月日・病院名・担当医師名の項目が義務付けられています。確認をして、サインしましょう。後ほど健康保険組合から「照会」の文章が届き、医師にも同意の有無を確認します。 - 骨折の後療の同意は健康保険の取り扱いに関わらず、労災・自費(トレーナー活動等)・交通事故の施術でも必要です。(柔道整復師法第17条施術の制限にて『柔道整復師は医師の同意を得た場合のほか、脱臼または骨折の患部に施術してはならない』と定められているからです。そのため自費診療でも医師の同意なしでは骨折・脱臼の後療施術は出来ないことになっています。健康被害防止のため、正しい施術を受けましょう。
●打撲・ねんざ・挫傷(肉離れ等)
こういう場合は健康保険でかかれません
以下のような場合は健康保険扱いにならないため、施術費用は全額自己負担となります。
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Case 1
日常生活での疲れによる肩こりのため、近所の接骨院で施術を受けた。スポーツによる筋肉痛、筋肉疲労に健康保険は使えません。 -
Case 2
庭の草取りをしたら、その晩から腰痛が出たので、翌日接骨院で施術を受けた。日常生活でおこる肩こり・腰痛に健康保険は使えません。 -
Case 3
数年前に傷めたひざが再び痛み出したので、接骨院で施術を受けた。過去のけがや交通事故の後遺症などは健康保険の対象になりません。 -
Case 4
けがをして医療機関で治療中だが、早く治したいので接骨院にも通院している。医療機関と重複受診している場合は、接骨院等で健康保険は使えません。 -
Case 5
長い間にわたる関節痛で、痛み出すたびに接骨院に通院している。症状の改善がみられない、長期にわたる漫然とした施術に健康保険は使えません。 -
Case 6
神経痛やリウマチなどからくる痛みのため、接骨院に通院している。医療機関で治療すべき病気・けがに起因する痛みなどへの施術に健康保険は使えません。 -
Case 7
仕事から帰宅途中で骨折し、近くの接骨院に運ばれた。通勤時や業務上のけがなどは労災保険扱いとなります。詳しくはこちらのページをご覧ください。
施術内容は必ずチェックを
接骨院等での施術費用は、原則としていったん患者が全額を負担し、事後に健保組合に申請して7割分の還付を受ける「療養費」の取り扱いとなります。しかし、利便性が考慮された結果、都道府県との協定を結んでいる接骨院等では、療養費の支給申請を柔道整復師に委任することができるようになり、保険医療機関と同様、原則3割の自己負担のみで施術を受けられるしくみになっています。
しかし、委任するとはいえ、「療養費支給申請書」には患者本人の自筆による署名が必要です。これらを求められた際は、負傷原因や負傷部位など記載事項に間違いがないか必ずご確認ください(白紙委任には応じないでください)。
領収書を必ずもらおう
接骨院等は、領収書の無料発行が義務づけられています。医療機関にかかった際と同様に、領収書は必ずもらっておきましょう。
事後の施術内容の確認にも使えますので、施術内容の内容ごとに金額が細かく書かれた明細書ももらっておくとより望ましいですが、明細書の発行は有料の場合もあります。
こんなことにご注意ください
健保組合から施術内容などについてお問い合わせすることがあります。
健保組合では、健康保険を使って接骨院等の施術を受けた方に、後日、施術内容や施術経過、負傷原因等の照会をさせていただく場合があります。保険料を適正に活用するため、照会業務へのご理解とご協力をお願いいたします。